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戦いの真っ最中だというのに、楽しいと思ってしまう自分はきっと生粋の人斬りなのだろう。
それも悪くない。
白刃を躱しながらそんなことを思った。
刀が頬を掠った時、意識が暗闇に落ちる感覚がした。
今までとは比べ物にならない速さの突きを自身が繰り出したのがわかった。
手応えを感じる。
ゆっくりと手を引きそれから刀を抜いた。
体が地面にぶつかる鈍い音が響く。
血を払い刀を収め、目の前のそれを見た。
何も感じない。
ふと空を見ると月が紅かった。
紅いモノを見ると何故か気分が高鳴る。
やはり自分は生粋の人斬りなのだろう。
暗闇の中に静かに足を踏み出す。
紅い月が笑っているような気がした。
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