真夜中の傍観者

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今まで僕は忙しかったんだ。 こんなことを考えなくても良いくらい。 朝起きたらまず、娘の朝ごはんに幼稚園に通わせるための準備。そらから娘の今日の髪型を考えたり。忙しかったけど、それなりに楽しかったりもしたんだ。 家族や友人、学校、職場の繋がりがあると、きっと踏みとどまるよね。 今まで自分のためにしてきたこと、すべて無駄になることだと解ってるよ。 社会のルール、規範くらい小学生高学年でも解るよ。 解ってるよ、解ってるさ。そんなこと。 でも、もう失うものが何も無い。 そんな時、何が歯止めになる? こんな真夜中、誰も見てない。殺るなら今だ。 こいつは僕の大切なもの全て奪っていったんだから、それ相応の報いがあるはずだ。 今なら誰にも… 「見てるよ、真夜中が」 僕の背中から娘の声が聞こえた。
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