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「メイ、ごめんなさい。まさかあのカオルちゃんがマモルくんの奥さんだなんて夢にも思わなかった」
私はメイの前で号泣し、感情をあからさまに現した。
相手がメイであろうとなかろうと、私は人を傷つけることをしてしまったのだ。
相手がメイだからこそ、その悲しみや苦しみややるせなさをこれほど間近で感じ、気付かせてもらえた。
メイはその小さな体で、とても抱えきれぬほどの感情の数々を、今ここで一人で抱え込んでしまっている。
初めて会った時はまだ11歳の、私を裕子ちゃんと呼び、いつもついてきてくれた可愛い女の子だった。そんなカオルを傷つけてしまったことに、胸が深く痛んだ。
しばらくの間、メイは俯き加減で体を震わせながらも、その表情を変えないようにしていた。だがメイはとうとう声をあげ泣き崩れてしまった。
ユウリはメイの元に駆け寄り強く抱きしめた。
ユウリは最初、声にもならないような声で言い始めた。
「メイ、ごめん。僕が悪かった。大丈夫、大丈夫だから!
僕はもう、ずっとメイのところにいるって決めたんだ。だから名前も変えて髪も伸ばした。都会から離れ、転職もして、メイの好きな海のそばに引っ越したんだ。僕は生まれ変わった。メイを一生愛するって決めたから今がある。僕はもうずっと変わらない」
ユウリは力強く、かつ雄々しくそう言いながら、泣き崩れるメイをずっと抱き続けた。
とても短い時間で、私達は抱えきれないほどの感情を体験した。
私はその日、一人電車で帰路に着いた。
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