8人が本棚に入れています
本棚に追加
その後何度か、夏が終わらぬうちにメイを訪ねた。
だが、私は働くメイをガラス越しにこっそり見るだけで、店のドアを開けてメイと会おうと、自然と思わなくなっていた。
「あ、ひまわり。あれは私が大好きな花。メイ、家族とはまた楽しくやれてるのね、私がひまわりを好きなこと、知ってるはず。」
その日も、私は一人海へと向かった。
『私が、会いに行けば行くほど、逆にメイの気持ちを逆なでしたり、混乱させてしまっていたんだね。
ごめんねメイ。
そうだよね。
だけど、メイがカオルちゃんだってことが、私はすごく嬉しかった。
カオルちゃんにまた、こうして会えたことが、マモルくんに会えた時と同じくらいに嬉しくて。
でももう、来ないね。本当に、ごめんなさい。
今まで、わからなくて、わかってあげられなくて、顔何度も見せちゃって、ごめんね。
辛かったよね。
もう、許してくれなくてもいいよ。
メイ、カオルちゃん。ずっとずっと幸せでいてね』
その日はもう、子供達の夏休みも終わっていて、海にいてもばったりリオとレイに会うこともない。
「そろそろ、涼しくなるかな・・・」夏はもう終わろうとしていた。
「うーみーー!!大好きだーーー!!」私はまた叫び始めた。
「ばかやろー!私はばかーーー!私はそんなこともわかんなかったのーーー!私がーメイが心配だからってーー、会いに行ったらー、メイは困っちゃうでしょーー!もう行っちゃダメーーーーー!!もう行かなーーーーい!・・もう、行かないから」
私は、海に向かって気がすむまで叫び、気がすむまで泣いた。
しばらく砂浜に座って、水平線より遠くを見ていた。空の色は紺色になり、どんどん暗くなっていく。
最初のコメントを投稿しよう!