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「裕子ちゃん、裕子ちゃん。ねえ、大丈夫?起きて!」
あれ?私は今どうしてるの?
「どうしてるのって、こんなところで寝ちゃってたんだよ」
え、ここは?
「船の上、さんふらわあ」
え?どうして?
「えー?」カオルは私を見て笑った。
私はさんふらわあのベンチで寝てしまったようだ。でもここ、さんふらわあ?
私の頭の中は混乱していた。
さっきまで、メイがお店でひまわりを飾る姿を見て少し安心して、ひとりで海に行って叫んでたのに、気がついたらさんふらわあにいる。
しかもここにいるのは、あの時のカオルちゃん。11歳のあの日のカオルだ。顔と服ですぐわかる。
何度もアルバムを見ていたから、その時着てた服も覚えているのだ。
ということは私は19歳??
これは何?
タイムリープというもの?メイとのことがうまくいかなかった私が過去の自分に戻って、何かをやり直そうとでもいうの?
ダメダメ、私はまだタイムマシンとか、その類の知識が全然ないのよ。ここで間違った選択をしてしまったら、タイムパラドックスを起こしてしまうかも知れない。
そうしたら現世に戻ってこれなくなるかもしれないし、それか現世を変えてしまうかもしれない。
だけど現に今、ここでカオルとこのような会話をしている。
ところで、私どうやって現世に戻ったらいいの?
それはそうと、どうやって私ここに来てしまったの?
何もかもがわからない!
これ以上カオルと話すことすら、間違った選択になってない?
「ねえ裕子ちゃん、大丈夫だから心配しないでよ。裕子ちゃんは今ね、この映像を借りて夢を見ているだけなの」
夢?
「そうなの、これは全部夢なんだから、ここで楽しんでいって欲しいの。
裕子ちゃん、今の私、つまりメイが裕子ちゃんにあんな態度をとってしまって、本当にごめんなさい」
カオルちゃん、私はもういいの。
メイの苦しい気持ちわかったから、許してもらおうなんてもう思わないよ。そんなの虫が良すぎるもん。私は今、当然受けるべき報いを受けているだけだから。
「許すも何もないよ、メイはもう裕子ちゃんのこと、とっくに許しているよ。
それより裕子ちゃん、これは夢なんだから安心して、30年ぶりにせっかくここに来たんだから一緒に遊ぼう!」
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