さんふらわあで抱きしめて!2

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ユウリは椅子に座りビールを半分ほど飲むと、大きく深呼吸をしてコップをテーブルに置いた。そして、畏って私達の方を向いて、ゆっくりと話し始めた。 「まず、メイ。僕らの事故のことなんだけど、去年の2月、リオとレイは留守番していたから免れたんだけど、僕の運転する車が山で急カーブに差し掛かった時、うまく曲がることができずに谷底へ落ちたんだ。メイはそのことすら覚えていないんだよね」 「ええ」 「メイあの時は本当に申し訳なかったと思ってる」 「ユウリ、それは何度も聞いたからもういいのよ」 「ああ。その時に僕たちが落ちた時、ありがたいことに草木がクッションになってほとんど怪我をすることもなかったんだ。ただ、メイの記憶だけ、失ってしまった」 私は初めて聞く2人の事故の話を、ただ静かに聞いていた。 「それでなメイ、メイとユウリと言う名前は、その時に僕がつけたんだ」 メイと私は、突然のユウリの言葉に息を飲んだ。 「え?」 メイは驚いて、口からただそう漏らした。
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