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私がメッセージを送ったのは出会いから28年後だったが、マモルが気付いて開けたのが、ちょうど出会って30年後だったのだ。
この年の前年である2015年は、30年前に流行った某SFファンタジー映画の中で、その30年後であるこの未来の日に、お台場にタイムマシンと化するアメ車が1985年という時代からやってきたという設定だ。
そんな時代の中で私達も30年の時を超えて、再び出会うことができたことは、私にとっては奇跡のようでもあった。
このようにして、私の話とユウリの話がここで結びついた。
この話の展開に記憶のないメイはついてこれたのだろうか。
「メイ、大丈夫?」と私はメイの肩に手を置き覗き込んだ。
するとメイは俯きながらも、うんと言い、少し震えているようにも見えたが、その先を知りたい好奇心も見え隠れし逞しくも見えた。
「それで、ユウリ。私たちは何故ユウリとメイになったの?子供達はどう思ってるの?何を知ってるの?」とメイは聞いた。
ユウリはメイに、ゆっくりと続きを話し始めた。
私の話の続きだ。
私は、ここまでのユウリの話を聞いて、あの日東京駅で自分を置き去りにして逃げて連絡も途絶えてしまったマモルへの、怒りから悲しみに変化していたあの想いは、すべてきれいに消えて無くなってしまった。
それはマモルの相手があの頃可愛く懐いてきてくれたカオルであり、友人でもあるメイでもあったからなのか。
私の悲しみは、メイへの愛情を上回ることはなかった。
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