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「ただ今、電話に出る事が出来ません。発信音の後」そう言った後、無音になる電話。
「あれ? これ、留守電なの? なに? 切れた?」
スマホを耳から遠ざけて画面を見る貴子。
もう一度耳にあててみる。
「発信音のあと、本当に心配だったらデパートの前まで来てください。ツーツーツー」
―――何? これ。白井部長ったら私をデパートへ呼び出してんの? ったくう!
一方的に切られて頭にきていた貴子は、店に入って尾田の隣に座った。
「おう、ほら、食べたぞ」
丼の中を貴子へ見せる尾田。
煮込みで山盛りだった丼が、すっかり空になっていた。
「うわっ、凄い。全部食べたの?」
「まあなー」自慢げな尾田。
「おじさん、次はーーーー揚げ出し豆腐と、揚げナスー」
「はいよ」
「尾田、揚げ物ばっかりじゃん」
少しだけビールを飲んでから、腕時計をちらっと見る貴子。
「おう。上げ上げで行きたいからな。俺の今日の気分は、絶好調。藤谷がいれば俺はなんでも出来ちゃうかもねー」
軽い口調で言いながら、気分良くビールをあける尾田。
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