それは、真夜中の出来事

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 昨日一緒にいたオタクの友はもう自宅に帰った後だし、つまんないなあと思いながら、目を閉じた瞬間、目の端に、何かの人影が見えた。  それと同時に、鳥肌が立ち、おでこの真ん中の部分で、女性の人が私の顔を覗き込んでいることを感じた。  目を閉じているから、顔はわからない。  でも、誰かいるのがわかり、それが女性だということはわかる。  そして、私は言ってしまったのだ。 「BL小説って、最高だよね!」  正確には、頭の中でそう言ったのだが、相手が固まったことだけはわかった。  だが私は、少しでもさっきの感動を分かち合いたいがために、読んでいたBL本の素晴らしさを語り続けたのだが、相手は消えてしまった。  何のコメントもなしに。  私は、少しだけ哀しかった。  きっとBLを知らない幽霊だったに違いない。  「残念だなあ」と、思いながら私はベッドにもぐりこんだ。  どこかにいないだろうか、BL好きな幽霊さん。  萌えは、きっと種族を超えると私は思うのだ。  
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