第五十一段階 冬越しの出来ないトンボ

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―――そんなにゴミを地面に落とすのが悪いのか? ゴミ箱が無いのが悪い。そんな目で見るなら、てめえが拾えばいい。 澤口は、フンと鼻で笑った。 世間の目なんか気にならない。今まで気にした事も無い。自分の家は、綺麗にするがそれ以外はどうでもいい。 自分が良ければそれでいい。それが澤口の考え方だった。 ―――白井の思い通りにはさせない。せっかくHOKUBUに入り込めたのに、たかが白井ごときの安易な提案で、うちが撤退する訳にはいかない。何が福袋商戦だ。笑わせる。そんなもの認めない。 スマホを取り出し、澤口は電話をかけた。 「あ、俺だけど。白井部長は、どうなった?」 相手の言葉を聞いて、澤口はニヤリと笑った。 「ふーん。自宅謹慎か。……で、福袋の売り上げ競争は無しになったんだろ?」 「はあ? 親父。なんでだよ。白井部長は、一店舗に肩入れしてたんだからな。そんな不正を見逃すのか?」 電話の向こうで澤口の父親。HOKUBUデパートの澤口部長は、ため息をもらした。     
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