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―――そう。昨日私は尾田に階段の所で改めて告白された……。
貴子は、改めて昨日の事を思い出してみた。
階段で尾田と貴子は向かい合って立っていた。
「藤谷」
両手を広げる尾田を、まじまじと見つめた。
幸せに出来るという尾田の言葉を疑った訳じゃない。むしろ、きっと尾田なら包み込むような幸せを与えてくれるような気がしていた。
尾田となら、平凡でもほんわかした笑いのある未来が想像出来た。
でも、貴子の心には既に別の人が徐々にその色を濃くして住み着いていた。
まっすぐに尾田を見て
「尾田、...... ごめん」
貴子は、頭を深く下げた。
少しの間、重苦しい沈黙が二人を包んでいた。
「......そうか。俺じゃ.....やっぱ駄目だったか」
「私なんかを好きになってくれて本当にあり難いのに……。ごめんね。尾田」
「うーーーーん」尾田は、両手で頭を抱えて階段に座り込んだ。
「尾田! 大丈夫?」
「うーーーーーーー」
低く唸り声を出し階段に座り込んで膝を抱える尾田。頭を膝にこすり付けている。
「あの……尾田……」
どういったらいいのかフォローも出来ずに尾田の肩に手をかけると
「わりい。かっこわりいから、もう先に帰ってくれねえか?」心なしか震えている声。
「尾田……」
顔を上げずに膝に頭をつけたまま
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