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尾田が何を言いたいのかと貴子が尾田の方を向いて口元を注視していると、電話の向こうの白井が話し出してきた。
「考えてた」
「え? なにをです?」
「ずっと、藤谷さんの事をもんもんと考えてた」
途端にかあっと耳まで熱くなっていくのを感じて貴子は、スマホをあててない方の耳を押さえた。
そのしぐさに驚く尾田は、貴子を怪訝そうに見おろす。
「実物に会いたいし、声も聞きたいし、抱きしめたいって思ってた所だった。声だけでも聞けて良かった。ありがと」
白井の言葉に貴子は、唾をゴクリと飲み込んだ。
「実はさ、心配してたんだ。レイプ未遂の事件なんかに関わってる俺なんかともう話したくも無いんじゃないかってね」
「そんな。あの……そんなの何かの誤解だって思ってますから」
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