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「そう? ありがたいな。藤谷さんさえ俺の味方なら、それでいいんだ」
「あの、それでですね」
貴子は、緊張していた。好きだと思い始めた男を自分からデートみたいなものに誘う事に若干の抵抗があった。
―――もし、用があるって断られたら? なんで私なんかと初詣にいかなけりゃならないってキレられたら?
隣で尾田が腕を突いてくる。
―――わかってるって。言えばいいんでしょ。言えば! 出来るわよ。私だって。
「もし、もしですよ。嫌じゃなかったら私と明日! 初詣に行ってくれませんか!」答えを待つ貴子は、目をぎゅっと閉じてしまっていた。
―――お願い! 白井部長! 断らないで!
しばらくの沈黙のあと、
「驚いたな」という白井の声が聞こえてきた。
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