第五十段階 長過ぎた片想い

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―――やっぱり、マジックだった。おそるべし、ティッシュマジック。抵抗する暇も無かったな……。 ゆっくりと瞼を閉じて、白井とのキスを初めてゆっくりと感じていた。 「藤谷さん、俺と付き合って」唇が離れた時に白井が真面目な顔で言った。 キスを受け入れておいて、嫌だという答えは普通出てこないだろう。だか、貴子は迷っていた。 ーーー澤口さんの事は? 付き合ってと言われてもないけど……。まだ、好きな気持ちは残ってる。 尾田の事は? きゅんとしたら尾田の所へ行くと言ったばかりだ。 目の前で貴子の返事を待っている白井。 ーーー白井部長の事は? 貴子は自分自身の心の声に耳をすませた。口を開きかけた、まさにその瞬間に、コートのポケットでスマホが鳴り響いた。     
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