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―――やっぱり、マジックだった。おそるべし、ティッシュマジック。抵抗する暇も無かったな……。
ゆっくりと瞼を閉じて、白井とのキスを初めてゆっくりと感じていた。
「藤谷さん、俺と付き合って」唇が離れた時に白井が真面目な顔で言った。
キスを受け入れておいて、嫌だという答えは普通出てこないだろう。だか、貴子は迷っていた。
ーーー澤口さんの事は? 付き合ってと言われてもないけど……。まだ、好きな気持ちは残ってる。
尾田の事は? きゅんとしたら尾田の所へ行くと言ったばかりだ。
目の前で貴子の返事を待っている白井。
ーーー白井部長の事は?
貴子は自分自身の心の声に耳をすませた。口を開きかけた、まさにその瞬間に、コートのポケットでスマホが鳴り響いた。
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