第五十段階 長過ぎた片想い

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☆★☆ 会社へ戻ってきた貴子は、どこか変だった。どこがどうって訳じゃない。 ―――うまく言えないけど、妙だ。 尾田は、慌ただしく会社へ戻ってきた貴子の様子を訝しげに見つめた。 言い表せないが胸の中に泡立つようにどんどん熱くなっていく想いを、仕事中の尾田は何とか抑えていた。 帰り支度を始めながら、チラッと貴子を窺うとスマホの画面を見て少し赤くなってはにかむような笑顔が見えた。以前、見たことのある表情だった。 ちょっと前、澤口と関係があった時の貴子からは、ああいう顔は見られなかった。     
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