第五十段階 長過ぎた片想い

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「俺の所に来いよ! 俺ならお前を泣かせねえ! 約束する! 頼むから、少しだけ下りてきてくれよ。俺の所まで」 貴子は、呆気にとられて尾田を見ていた。 「尾田……」 ―――頼むから。藤谷。少しだけでいい。俺に進んできてくれ。そうすれば俺はお前を幸せに出来るから。 願うように尾田は、貴子へ向けて腕を伸ばした。 目の前に広げられた尾田の腕は、貴子が一段階段を下りさえすればすぐに抱きしめられるほどに傍にあった。
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