11人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
それはゴツゴツしているお父さんの手とは、まるで違う手。
「お父さんだよね!?」
「……フッ」
生暖かい吐息が、りさの耳にあたった。
怖くなった私は父?の手を自分の顔から遠ざけて、勢いよく後ろを振り返る。
「びっくりした?」どこか懐かしい男の子の声がした。
私は涙で赤くなった目をこすった
視力おちたのかな?
でないと目の前で,人の腕が浮いている,説明がつかない。
「その顔はびっくりした顔だね!
ねぇ、そうでしょ?」
またもや男の子の声がした。
空耳が聞こえるだなんて疲れてるのかな?
それとも何かの病気かしら?
もしそうなら、
とびっきり不幸になれそうな病気がいい。
「ねぇ、聞いてる?」
目の前で浮いている両手が左右に手を振った。
りさは本能的に2~3歩後ずさる。
そ、そうだ!
学校に行ってないから別にやることもないんだし、もう寝よう。
それがいい!
私はクルッと方向転換をしてマンションに入ろうとした。
「僕…君のことが好きなんだ!」
りさの足がピタリと止まる。
今なんて言った?
私はポカンと大きな口を開けて腕のいる方を向いた。
腕は腕なのにモジモジと語りだす。
「僕ね、危なっかしい君を見ていると死ぬに死ねなくてさぁ、
仕方なくこの世をさまよってるの。
最初のコメントを投稿しよう!