不幸が幸せ

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それはゴツゴツしているお父さんの手とは、まるで違う手。 「お父さんだよね!?」 「……フッ」 生暖かい吐息が、りさの耳にあたった。 怖くなった私は父?の手を自分の顔から遠ざけて、勢いよく後ろを振り返る。 「びっくりした?」どこか懐かしい男の子の声がした。 私は涙で赤くなった目をこすった 視力おちたのかな? でないと目の前で,人の腕が浮いている,説明がつかない。 「その顔はびっくりした顔だね!   ねぇ、そうでしょ?」 またもや男の子の声がした。 空耳が聞こえるだなんて疲れてるのかな? それとも何かの病気かしら? もしそうなら、 とびっきり不幸になれそうな病気がいい。 「ねぇ、聞いてる?」 目の前で浮いている両手が左右に手を振った。 りさは本能的に2~3歩後ずさる。 そ、そうだ! 学校に行ってないから別にやることもないんだし、もう寝よう。 それがいい! 私はクルッと方向転換をしてマンションに入ろうとした。 「僕…君のことが好きなんだ!」 りさの足がピタリと止まる。 今なんて言った? 私はポカンと大きな口を開けて腕のいる方を向いた。 腕は腕なのにモジモジと語りだす。 「僕ね、危なっかしい君を見ていると死ぬに死ねなくてさぁ、  仕方なくこの世をさまよってるの。     
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