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私の視界がパッと開けた時、公園の木に月が覆い隠された。
「この場所嫌い」とりさが言うと、
「僕は好きだな」と腕が言った。
滑り台と砂場があるだけの古くさい公園。
「あっ!あれ砂場じゃない?」
腕はすぐさま、空中を駆け抜けて砂場に向かった。
こいつって生きてた時、何歳くらいだったんだろ?
私の頭に素朴な疑問が生まれる。
手の大きさや、声の質からすれば確実に15歳未満。
下手すればもっと下かもしれない…!
「見て!?これ土だよ!?触ったのなんて生きてた時以来だ!」
腕が土だらけの手をりさの前にかざした。
「ひっ!」
ドタンと尻もちをつく。
すぐに立ちあがったが、ピンク色のワンピースは土だらけ。
なんて不幸なんだろう。
そう思う反面、りさは頬に喜びを浮かべていた。
「何で笑ってんの!?それってお父さんに買ってもらった大切な服なんでしょ!?」
急に腕が私を怒鳴りつけた。
それを言うなら、私を驚かしたあんたが先に謝るべき何じゃない?
それに、
「なんでこの服をお父さんに買ってもらって知ってるの?」
りさはワンピースについた土をはらい落しながら問う。
牛のはん点模様みたいな土跡は中々消えてくれない。
「だって…ううん…何でもない」
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