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りさは月のない夜空をパッと見上げた。
「明日から学校に行ってみようかな?」とつぶやく。
「そっかぁ。
いいんじゃない?
頑張ってね、りさちゃん。」
‐りさちゃん‐という言葉に私は腕のいた方を振り向いた。
腕はもうそこにいない。
ただ真っ暗な公園だけがひろがっていた。
昔、りさのことを‐りさちゃん‐と呼ぶ男の子がいた。
その男の子はクラスの人気者で男女問わず優しい。
もちろん、りさにも優しくしてくれた。
だから私はそんな彼に恋をしたのだ。
なのに彼は同じ中学校にあがる頃、交通事故で死んだ。
突然のことだった。
あの腕は彼の腕だったのかな?
「まさかね」
彼があんなガサツなことするはずない。
りさは鼻でクスッと笑って夜の街を歩きだす
夜空に輝く月は、かすかな光を放ってりさの希望に満ち溢れた目を照らしていた。
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