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ボクはアナタを信じ続けます
夜になると私の体から
毎晩1体ずつ出現するシャドー。
影と名付けられただけあり、
物理的な攻撃は一切当たらない。
人類に残された対処方法は、
発生源の除去しかなかった。
5月11日、
警察は私の周辺で人が消えていることから
私を無差別失踪事件の犯人として確保した。
その日の夜、私を拘束していた警察署の人間は、
全てシャドーによって消されていった。
5月13日、
警察署内で1人で暮らす私に
武装した白い研究服の集団が現れ
私をどこかの研究施設に連れていった。
私はそこでやっとシャドーの存在を知ることになるが
その施設の人間も、その日の夜に消えてしまった。
5月23日、
日本は私の事を名指しで
それまで起きていた地域的連続失踪事件の首謀者として報道した。
幸か不幸か
もう私の住む中部地方にはほとんど人がいなかったため、
報道があっても私を殺そうとやってくる民間人はそうはいなかった。
日本に住む全ての人が敵に思え、
自殺しようとしたとき彼が現れた。
これまでも何度も自殺しようと考えていた。
だけど、もしかしたらシャドーに消された人も消えただけで事件が解決すれば元に戻るかもと
心のどこかでそんなおとぎ話を信じていた。
もう実名報道された以上
事件が解決して全員元に戻ろうとも
私は消えるしかない。
私は自分の命を断とうと、
警察官が落としていた拳銃を胸に当てた。
「待ってください!先輩、どんな状況になろうとボクはアナタを信じ続けます。」
ボロボロの制服を着た彼が現れ、私から拳銃を奪い、そう言った。
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