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「こんにちは」
ここは最初の村、勇者がここから旅だった話を聞き、ここで詳しく聞こうとやってきた。
「こんにちは」
「あの……少しお聞きしてもよろしいですか?」
「はい、どうぞ?」
「勇者のことについて……」
すると、その人は少し怪訝そうな顔をしたが、すぐに答えてくれた。
「そうですね……今は英雄として崇められています。ですが、勇者様は最初から不思議なお方だったそうです」
村人は私を家の中に招き入れ、お茶を出してくれた。
「なんでも、勇者様は空から舞い降り、魔物に襲われていたこの村を、落ちていた農具で倒してしまわれたとか。……私は直接見た訳では無いので、なんとも言えませんが……」
その村人は、少しはにかむように笑った。
「他には、何かありますか?」
「そうですね……勇者様は、その魔物を倒したあとすぐに、この村から出て言ってしまわれてしまったそうです。それ以来、この村には魔物は現れなくなったそうです」
村人は、不思議そうに頭を傾げた。「なにか、魔法でもかけてくださったのでしょうか」と言いながら。
「あの、その前までは、魔物はこの村を襲っていたのですか?」
「……多分、それはなかったかと。勇者様が現れる……二、三日前前くらいからだと聞いております」
村人は、新しいお茶を入れてくれた。
「そうですか……ありがとうございました」
私は、お茶を飲み干すと立ち上がった。
「あの……どうしてそんな……」
村人は、そこで言葉を切った。そして、目を伏せてから顔を上げた。この先の言葉は、無意味だと悟ったのだろうか。あるいは……。
「また、いつでもお立ち寄りください。いつでも、お待ちしておりますから。旅の方」
私は、軽く会釈をすると、その家を後にした。
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