次の別れ

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次の別れ

その次に立ち寄った村は、何故か酷く荒れ果て、人ひとり見つからなかった。 あたりを見回しても、廃墟ばかりでなにもない。 しばらくその村を歩いていると、壁に貼り付けてある紙を見つけた。だいぶ風化しているが、なんとか読めそうだ。 『この村は、とても穏やかだったのに』 穏やか”だった”?なぜ過去形なのだろうか。私は、他にないものかと周りを見渡した。すると、少し先に、また紙が貼ってあった。 『アイツのせいで、全てを壊された』 ”アイツのせいで”……この村では、何かが、村が消えてしまうほどの何かがあったようだ。わたしは、また紙を見つけた。家の中の方だ。 『アイツは、僕のお友達を殺した』 大量虐殺か……なんと非道な。そして、反対側の壁にも見つける。 『魔物は、悪いやつじゃないのに』 「……」 私は息を飲んだ。魔物が友達……。あぁ、そうか。この世界には、魔物と人が共存している村があると聞いてはいたが……ここがそうだったのか。そう言って、私は家の中から出る。すると、正面に、また紙が貼ってあった。 『アイツは正義の味方じゃない』 今まで出てきた”アイツ”は、魔物を倒せるほどの力を持っている。それを、共存できていたこの街で奮ってしまったのか……。そして、またその隣に紙を見つけた。 『アイツは敵だ』 その隣にも。 『魔物は我々のよき隣人だった』 その隣に。 『なのに、アイツは』 その隣。 『心優しき隣人を』 隣。 『殺して』 隣 『持ち物を奪って』 隣 『おかげで、我々は全てを失ってしまった』 ……その隣は、何も無かった。私は、壊れた噴水のある広場に出た。その噴水にも、何かが貼ってあった。今まで村で見つけた、あの紙だ。 『我々はアイツを……勇者を許さない』 憶測通りだった。勇者は魔物を狩り尽くしてしまったのだ。そして、この村の恨みを買った。この村は、恨みが根深く残り、魔物と力を合わせて支えてきた村は不安定になり、崩壊したのだろう。 「……」 なんとも、悲しい結末だ。勇者は、なぜ魔物を狩り尽くしてしまったのだろうか。 私は、噴水に背を向けて歩き出す。この村にはもう、話を聞けそうにないと、これ以上、掘り返しては行けないと思った。多分、あれで話は終わりなのだろう。そう思った、その時だった。
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