3. わたしの仕事

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「……ん……」 額の冷たい感触と眩しい光に薄らと目を開けた。 一体、ここは……。 じんじんと熱を持つ腕がわたしを現実に連れ戻していく。 「おや、目が覚めたかい?」 「クロエ!大丈夫か?」 見知らぬ老婆と屋敷の執事がわたしを覗き込む。 簡素な小屋の中でわたしは寝かされていたようだ。 「お前がなかなか戻ってこないから心配して街に出てみたんだ。そしたらこのお婆さんが看病している最中で……」 「ごめんねぇ。病院へ連れていきたかったのだけれど、お金が……」 どうやらあのまま気を失ったわたしを付きっきりで世話してくれていたらしい。 救急隊を呼べば莫大なお金がかかってしまう。 刺された腕には白い布が巻かれていた。 じんわりと滲む血に少し息が止まる。 「いえ……助けていただいてありがとうございました。……そうだ!あの子は!?」 ハッとするわたしに老婆はゆっくり首を振った。 「連れていかれてしまった……」 「そんな……」 目を伏せるわたしに、執事が一封の手紙を差し出す。 「……これ、その子が落として行った手紙らしいんだ。住所は書いていないけど、屋敷の紋章の絵がある。……そして宛名がグレイシア」 ドクン、と心臓が音を立てた。 背中をつたう汗が変に気持ち悪い。 「嫌な予感がする。早く屋敷に戻ってグレイシアに届けよう」
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