3. わたしの仕事

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「グレイシア!!」 屋敷に飛び込むように駆け込み、グレイシアの姿を探す。 キッチンから顔を出した彼女が驚いたようにわたしを見た。 「クロエ!腕は大丈夫?あなたが刺されたと聞いて気が気で無かったの。私が一人で行かせたりなんかしなければ……」 申し訳なさそうに俯くグレイシアに首を振る。 「わたしは平気よ。それよりも……これ」 例の手紙を手渡した。 ずっと握りしめていたせいで封に皺がよってしまっている。 「私宛て?……もしかしてこの字!」 グレイシアの顔がサッと青ざめた。 慌てて封を切る。 便箋を取り出す手は震えていた。 「やっぱり……スカーレットからだわ……!」 膝から崩れ落ちるように倒れ込むグレイシア。 慌てて支えながら、血の気の引いた彼女の背をさする。 「あなたが女の子を庇ったと聞いたとき、『まさか』と思ったの。……その子は、スカーレットは、私の孫よ」 ひゅっと喉がなった。 わたしが救えなかったのはグレイシアの孫で、その子は今……。 「スカーレットは!あの子は、どうなったの!?」 縋り付くような彼女の瞳に、わたしは俯いてしまった。 何も言えなかった。言えるわけが無かった。 救えなかったのだ。 わたしが大好きなグレイシアの、大事な孫娘を。 「手紙を届けに来ようとしたんだわ。普段は私の息子……あの子の父親と、森の方に住んでいるの」 彼女の声は涙に濡れていた。 「一人で街に出てきてはいけないと、そう教えていたのだけれど。でも来月はあの子の誕生日で……」 便箋には幼い子どもの字で「しょうたいじょう」と書かれていた。 「ああ、なんてこと……!」 そのままグレイシアは泣き崩れてしまった。
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