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静かに部屋の扉が閉まる。
一人になった途端、ずるずると力が抜けたように床に座り込んだ。
冷や汗と動悸でまともに立つことが出来ない。
わたしはとめどなく溢れてくる涙を拭うことも出来ず、ただ顔を覆った。
自分の不甲斐なさを呪って、傷を抉るようにあの時の光景を思い出す。
もっとわたしが強ければ、きっとグレイシアを悲しませることはなかったのに。
グレイシアはあのまま仲間に支えられ、自室に戻って行った。
立ち尽くすわたしを振り返ることもしなかった。
わたしは腕の傷が良くなるまで絶対安静を言い渡された。
新しく替えて貰ったガーゼに、またうっすら血が滲んできている。
けど、そんなことはどうでもよかった。
このまま消えてしまいたい。
逃げ出せたならどれほど楽だろうか。
ガシャン、と窓のガラスを叩く音がした。
項垂れるわたしを呼ぶようなそれに顔を上げる。
窓の向こうで一羽のカラスが翼をはためかせていた。
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