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この街には盗賊が犇めいている。
日中から飛び交う罵声や下品な笑い声にわたしは耳を塞いだ。
泣きわめく子供と、痩せ細った両親。
ぼろぼろの家に押し入る盗賊達は、次から次へとお金になりそうなものを袋に詰め込んでいく。
「おやめください……!それだけは!」
悲痛な叫びにも奴らは手を止めない。
抵抗しきれないのは、奴らが刃物を持っているから。
薄汚れた服で涙を拭う周りの人達は黙って俯いた。
目をつけられたら次は自分がやられる。
彼らにも家庭があるのだ。守るべき子供や、妻がいるのだ。
わたしは足早に街を通り過ぎた。
周りと同じように、見て見ぬ振りをしながら。
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