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施設の中からは、たくさんの足音がする。
この施設の中に、こんなに沢山の人がいるだなんて知らなかった。
…零は、私は病気じゃないって言った。
じゃあ、私はなんなんだろう。
私はなんのために、こんな施設の中にいたんだろう。
「ねぇ、零」
「っなに?」
二人とも、少しだけ息が上がってきた。
そもそもそんなに運動なんてしてこなかったんだから、当たり前だ。
そんな苦しい状況でも、零は私の方をできるだけ向いて、話を聞こうとしてくれる。
「ー…いつか、本当のこと、教えてね」
零から、息を呑んだ音がした。
少しだけ間を置いて、零は答えた。
「…あぁ」
そのまま走り続けて、曲がり角を左に曲がった時、小さな扉が見えた。
「っあれだ!」
扉の横には番号を押す機会がついている。
…暗証番号…?
不安になって零を見ると、大丈夫と言わんばかりに微笑んだ。
そして零は、迷うことなく番号を入れる。
すると、ガチャっと鍵が開く音がした。
「な、なんでわかるの?!すごい!」
「俺にかかればこんなもんだよ、さあ行くぞあと少しだ」
そう言って零がドアノブに手をかけた瞬間。
「っがああっ」
隣にいた零は、呻き声を上げた。
「零?!」
零は苦しそうな顔をしながらなんとか扉を開けきると、その場に崩れ落ちた。
もしかしてと思って、ドアノブを握った右手を見ると、少し黒く焦げていた。
…電流?!
「零!しっかりして!大丈夫?!」
「へ、へーき…平気。こんな仕掛けがあるなんて…情報なかったのに」
よく見ると、零の身体はピクピクしていて、痛々しい。
「私に掴まって!あとちょっとだもん行くよ!」
そう私がしゃがみこんで肩に零の腕をかけた時、後ろから足音が聞こえた。
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