1【イチ】

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施設の中からは、たくさんの足音がする。 この施設の中に、こんなに沢山の人がいるだなんて知らなかった。 …零は、私は病気じゃないって言った。 じゃあ、私はなんなんだろう。 私はなんのために、こんな施設の中にいたんだろう。 「ねぇ、零」 「っなに?」 二人とも、少しだけ息が上がってきた。 そもそもそんなに運動なんてしてこなかったんだから、当たり前だ。 そんな苦しい状況でも、零は私の方をできるだけ向いて、話を聞こうとしてくれる。 「ー…いつか、本当のこと、教えてね」 零から、息を呑んだ音がした。 少しだけ間を置いて、零は答えた。 「…あぁ」 そのまま走り続けて、曲がり角を左に曲がった時、小さな扉が見えた。 「っあれだ!」 扉の横には番号を押す機会がついている。 …暗証番号…? 不安になって零を見ると、大丈夫と言わんばかりに微笑んだ。 そして零は、迷うことなく番号を入れる。 すると、ガチャっと鍵が開く音がした。 「な、なんでわかるの?!すごい!」 「俺にかかればこんなもんだよ、さあ行くぞあと少しだ」 そう言って零がドアノブに手をかけた瞬間。 「っがああっ」 隣にいた零は、呻き声を上げた。 「零?!」 零は苦しそうな顔をしながらなんとか扉を開けきると、その場に崩れ落ちた。 もしかしてと思って、ドアノブを握った右手を見ると、少し黒く焦げていた。 …電流?! 「零!しっかりして!大丈夫?!」 「へ、へーき…平気。こんな仕掛けがあるなんて…情報なかったのに」 よく見ると、零の身体はピクピクしていて、痛々しい。 「私に掴まって!あとちょっとだもん行くよ!」 そう私がしゃがみこんで肩に零の腕をかけた時、後ろから足音が聞こえた。
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