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「…お前は弾1発で、こいつの命を奪い、こいつを待っている家族を壊した。お前へにはその罪の重さがわからないのか」
俺の言葉に、少し驚いた顔をするとすぐにあっはっはと高らかに笑った。
「驚いた。まさかお前が罪の重さなんて語るとはなあ。お前に命の重さの何がわかる」
「…わかるさ、少なくともお前よりはな」
作り物の身体。
作り物の心。
作り物の頭。
「お前がそう作ったんだろうが。人の痛みがわかるように」
教授はしゃがみこむと、俺の顎を持ち上げてクックックッ、と笑う。
「あぁ…まさかここまで人間に寄った機体ができると思っていなかったよ。そのせいでお前は逃亡を測り、失敗作になってしまった。…なあ、0号」
「わかってるのか。お前は命を産んだんだよ。人のような身体で人のような心。でも…人間の言うことしか聞かないロボットにするのには、あんまりにも精神に干渉しすぎたんじゃないか?」
「そうだな。お前は人間によって作りすぎた。だが、あのまま行けば一花は世界初の成功例になっていたさ」
…信じられない。
いくら機械だとは言え、人と同じような心を持った機械を戦争の道具に使おうだなんて、よく考えられるものだ。
「一花をさらに人間らしく残酷にするためにお前を送り込んだのに。こんなことやらかしてくれやがってなあ」
「…俺も一花も生きているんだぞ」
「笑わせるな。全部作り物だぞ」
「それでも!」
喜び、怒り、悲しみ、楽しさ、寂しさ、苦しみ、辛さ。
一花は全ての感情を持っていた。
走り去る前、俺の目の前だ涙を流した。
「ー…生きてるんだよ!!」
教授を睨みながら叫ぶと、真顔になって立ち上がった。
「…馬鹿馬鹿しい」
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