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「教授、0号どうしますか」
「あぁ、このまま電源を切ろう。どうせ一花のことは喋らないだろうし、あいつはGPSで追える。無理にこいつを起動しておく理由もない」
…なあ一花。
お前は何も知らない。
本当は、何も知らないまま生きて欲しい。
「どうせあいつは体内温度が上がっていたからな。激しい運動なんてすればショートして終わりだ。それくらいこいつも理解して逃亡させているはずだ」
「…了解しました。1号の追跡を行います」
「あぁ、よろしく」
そういうと、教授は俺の後ろに回り、首の後ろにあるスイッチに触れた。
「じゃあな、さよならだ」
事実に悲しんで涙を流すかもしれない。
それでも、一花は俺と一緒にいて笑って泣いて、怒って。
ちゃんと人として生きていける。
だから、お願いだから。
ー…俺の分まで生きてくれ、一花。
「ー…いい夢を」
カチッと電源を切られた音がして、視界が真っ暗になった。
『強制的にシャットダウンされました。プログラムを終了します』
end.
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