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ノックが3回。
それは、彼がやってきた合図。
「零、おはよ!」
「おはよう一花。よく眠れた?」
「もうばっちり!」
彼と出会って、数え方としてはちょうど1年、になるらしい。
「今日は朝ごはんオムレツ出たんだ!やっぱ美味しいよねぇ」
「幸せそうだな」
「もちろん、だってオムレツだよ?!」
零は誰よりも私のことをわかっている。
私の好きな食べ物はもちろん、私の記憶にある思い出ほとんどは、零とすごしてきたものだから。
「ほんと、最初はこんな活発な子だと思わなかったよ」
「そればっかりだなぁ。1人でずっと騒いでる方が頭おかしい子でしょ!」
「まあな」
零のおかげで、零がいてくれたから、自分ってものがしっかりわかった気がする。
零がいなかったら今も、私は部屋の隅で蹲っていたと思うから。
「で? 今日はなにするの?」
「今日はなー、いいもの持ってきたぞ」
いつも持っている、ピンクの袋を掲げるとニヤニヤと笑った。
「なになに、教えてよ零!」
「聞いて驚け。今日はなーこれだ!」
そう言うと袋の中から小さなリモコンのようなものを取り出した!
「………なにそれ」
「おい、そんなゴミでも見るかのよう視線を送るな。これはな…ゲーム機だ!」
ゲーム機…?
ゲーム機って…あの、あの、ゲーム機?
「え、嘘!零どうやったの?!先生は絶対ダメって言ってたのに!」
「俺にかかれば造作もないんだよこんなこと」
得意げに笑うと、部屋にあるテレビ(これも前に零が持ってきた)に繋げはじめた。
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