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「失礼する。」
さて、そろそろ零も帰るかという時、先生が部屋に入ってきた。
「先生こんにちは。」
「いつも通り体温と血圧チェックするぞ。ベッドに座れ一花。」
「はーい。」
夕方4時。
先生はこの時間ぴったりに必ずやってきて、体温と血圧を計測する。
「…今日は、少し体温が高いな。そんな動いていたか零。」
「いえ、今日は一日部屋にいたので…。でもはしゃいでいたので、そのせいかもしれないですね。」
「そうか…その程度で…。少し対応を考える。あんまり暴れさせないようにしてくれ。」
「…わかりました。」
ー…私はなんかの病気らしい。
なんか、というのは私が生まれてからずっと本当に病気なのかすらも知らされていないから。
でも、部屋は真っ白だし、私はこの施設から出たことはないし、そうなんだろうなって勝手に思っている。
そして、私には両親もいないらしい。
なぜかと言われれば、この部屋に先生と零以外は来たことがないから。
私には家族がいないから、お見舞いにも来ないんだろう。
だから、私は一人ぼっちだったんだろう。
「零、明日はゲーム出来ないの?」
「…そうだな、明日は映画でも観るか。」
「映画!!また面白いやつもってきてね。」
「あぁ。じゃあ、そろそろ帰るな一花。」
「うん!ばいばい、零!」
…なんだか、今日は零の背中が小さく見える。
どうしてだろう。
さっきまであんなに元気だったのに。
「零!」
私は急に不安になって、彼を呼び止めた。
「またあした!絶対だよ!」
零は少し驚いた顔をして、私に柔らかい笑顔を向けてくれた。
「ー…あぁ。また明日。」
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