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部屋を出ると廊下で寝ている飼い犬のパピヨンが首を上げてこっちを見る。目の周りだけ黒毛なので表情は見えない、頭をなでてリビングに向かう。
リビングの時計を改めて見る
3時前か…
診療放射線技師という仕事、いわゆるレントゲン撮影をする仕事。
検査が必要な患者が出ると昼夜を問わずこうやっ電話がかかってくる。
ただいま勤めているのは救急病院ではなく、ただの病院。
ほんとにレントゲン検査いる? と感じる依頼がほとんど。
服を着替えて外にでる。
外は真っ暗、星が見える。車に乗り込む、出発。
田舎なので信号はほとんど黄色の点滅、対向車もいない、眠った町、横断歩道に動くなにかが!
ネコか…
病院だけが赤々と窓からの光が見える。車を停め中に入ると薄暗い待合室に数名の人。
家族の人たち、みんな疲れきったように俯いている。一人の家族と警察らしき人が話をしている。
この後、葬儀屋を呼び、お通夜、葬儀…たいへんだな
レントゲン室に入る、CT装置のスイッチを入れる、装置は立ち上がるまでに10分ほどかかる。
電源くらい入れてくれたらすぐに撮れたのに…また少し怒りを感じる。
これから遺体がやってくる、そして撮影を行う、こんな夜中に…
不思議と怖さは感じない、職業柄?
どんな人がどんな状態で来るんだろう…
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