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太陽の光が、明滅している。
私は手をかざして仰ぎ見る、まるで、救急車のサイレンのようだ。「助けて」と星が叫んでいるようだ。
その昼とも夜ともつかない空間が始まったのは、高校2年の夏、今から2ヶ月前のことだった。太陽が死滅する__その重大事項を研究者が発表したのが一ヶ月後。私たちは、いつ世界が滅んでもおかしくない。そんな中、毎日を送っている。
昼間がそんな調子だから、夜が怖い。怖くて怖くて仕方ない。もし、この恐ろしい夜が明けなかったらどうしよう。はっきりとはもう見えなくなった月に何度祈ったことだろう。
けれど、人間は不思議なもので、学校はきちんと機能している。私は今日も明滅する太陽を見上げながら、学校に行く。
「美月、おはよ」
「おはよう。香菜ちゃん」
「なんだってこんな時まで学校あるんだろう。ありえない」
「ほんとだよね」
「でも、ちょっとありがたいかも」
「なんで?あーわかった。先輩に会えるからだ」
そう、私、北村美月は、弓道部の元部長、竹中修先輩に恋をしている。先輩は、3年生で夏で弓道部を引退する予定だったものの、地球滅亡の騒ぎのせいか、今も弓道場に足を運んでいる。
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