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「明日死ぬと言われるよりも、恐ろしいかもしれないぞ?何しろ見知った全ての世界が壊滅するんだからな」
「それは__」
いきなり現実を叩きつけられた気分だった。本当は、先生がその話題を振らないのも、先生自身考えたくないと言うのと、私たちが学ぶことに疑問を持たないように、心配しないようにしてくれているのだとわかっていた。
でも、先輩はあえてその話題を振ってくる。
「北村、お前はやり残したこと、ないのか?」
「っ__」
思わず顔が歪む、やり残したことなんて、ないわけがない。だってまだ17歳なのだ。来月発売される漫画を読みたかったとか、そうゆうくだらないことに始まり、家族にもっと優しくすればよかったとか、もっと部活に打ち込みたかったとか、もっと先輩に__気持ちを伝えればよかったとか。
「ありますよ。やり残したこと」
私は心を決めてまっすぐ先輩を見つめた。
「私、竹中先輩が好きです」
「私と世界が終わるまで、付き合ってくれませんか?」
先輩はちょっと驚いたように目を丸くした。
「それが、やり残したことか?」
「はい。そうです」
「いいよ。付き合おう」
「俺は北村のことを恋愛対象として好きではない。だから__落としてごらん」
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