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でも当時はそれをどこか冷たく感じてぞくりとしたのを憶えている。
何故だろうか。考えていることを読まれたからだろうか。
「じゃあどうやってつるをくっつけているの?」
「つるが自然と巻きつくんだよ。そういう習性を持っている」
「へえ。じゃあ別の物を傍に置いても、巻きつくの?」
「そうだよ。何でもいいんだ。長いものに巻きつく」
「長いものが何もなかったらどうなるの?」
「どうなると思う?」
問われて、うーんと考え込んだ。
「死んじゃう?」
「死んじゃうのか。可哀想だね」
「可哀想なのは水落くんだよ」
そう言うと穏和な面持ちながらも多月がはっとしたように息を呑むのがわかった。
「そうだね。水落くんは可哀想だ」
「お兄ちゃんも水落くんの話を聞くの?」
「よく聞くよ。水落くんのようになりなさいと言われる」
「水落くんを見たことがないからわからないよね」
「僕は見たことがある」
「凄い。見たことあるの? 可哀想だった?」
「可哀想だったよ。でもね、可哀想って思ってはいけないと思う」
「どうして?」
「大人たちは可哀想だと言うけど、そう言って憐れむことで余計に可哀想な子にしてしまう」
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