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それなら憶えている。だけど気づかなかった。そうか、あの時と今の多月は雰囲気が全然違った。
今のような感じではなかった。そうだ、もっと近寄りがたかった。
怖かった。だから話しかけようとしても結局できないままだった。
そしてあの時は子供が他にも何人かいて、でも何故か多月は七海のほうをじっと見ていた。
「どうしてあの時僕を見ていたの?」
「君も僕と同類だったからだよ」
「どうるい?」
「仲間ってことだ」
「何の仲間? 遊ぶの?」
「そうだね。楽しい遊びをしたい」
「じゃあ何をして遊ぶ?」
「大人の秘密を一緒に探そう」
「大人の秘密?」
それはとても楽しそう。そう思ってわくわくした。秘密探検隊かな。
「大人の秘密を探す前に、君にとびきりの秘密を教えてあげる」
「秘密を教えてくれるの? 何?」
「君のお父さんは殺されたんだよ」
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