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「公務員ならではですね。だけどたまに女性刑事とかいらっしゃるじゃないですか」 「ドラマじゃないんだから美人刑事なんているわけないし。男かどうか区別できないのもいるよ」  確かにそうなることは避けられない。女だろうと男と同じ訓練をこなすのだから。男でさえ音を上げる過酷な警察学校を卒業できているのにはちゃんとした理由がある。 「それに比べたら女と区別できない男のほうがましなのかな…」 「それ、俺のこと言ってませんよね?」 「大丈夫! 男だとはわかる」  かろうじて、という言い方をされて誰が喜ぶというのか。  七海だって女と付き合ったことがないわけではない。数少ないがある。まあいずれも一、二週間で終わっているが。大概は向こうから言い寄られて。でも何か違うとか楽しくないとかでふられてしまう。  一番ひどかったのは、相手の女が同性愛者だったというオチ。『七海くんならいけるかと思ったけどやっぱり駄目だった』と言われた時にはショックだった。どういう意味だ! と憤慨した。一人で。本人には言えなかったので。  だからもう女には自分から近寄らない。別に結婚願望もないから構わない。
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