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「そしてこのまま捜査を続けると自分の身が危ない、と気づいた。そこへつけこむようにして堀川議員に旨い話を持ち込まれた」 「……」 「こういう裏取引は違法だよね、水落くん?」  そこで話をふられた水落が欠伸を殺しながら答える。 「あー俺にそれ訊くの? まあ警察がやっていいことじゃないよね。違法じゃない?」 「違法だから警察としては取引に乗るわけにはいかなかった。しかし捜査から手を引かない限り、自分の身が危ない。だから乗ったね?」 「おまえは自分の言っていることの意味がわかっているのか?」  そこで恫喝するような問いかけがされ、父が追い詰められていることがわかった。  そうだ。反発しろ。  認めたくないとつっぱねろ。  その上で屈辱的に認めさせることで俺の本懐は遂げる。  俺の生きた証にしてやるからさ。  生きてて良かったと思えるはずだから。 「もちろん意味はわかっているよ」 「これは父親を脅していることになるんだぞ」 「脅しじゃない。告発だ」 「父親を告発する人間がどこにいる?」 「父親を告発する人間はいないだろうね。でもあんたは俺の父親じゃない」  冷淡にそう告げると父は口を閉ざした。  閉ざしたくないけれどそうしたように見えた。
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