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 実に気分がいい。  あんたのこと言い負かせてみたかったんだ。  水落みたいな口の立つやつをやりこめても楽しくないはずだ。  やっぱり長年威張ってきた人間を踏みつける快感に勝るものはない。 「結局それが言いたいがために、こんな回りくどいことをしているんだな。一から調べ上げて、水落くんを連れてきて証人に仕立てて、特捜部にでも告発するつもりか?」 「そうだね。そうしたい」 「ただの憶測、思い込みでした、では話にならんぞ。ちゃんとした証拠があって言っているのか?」 「もちろんだ。文書として欲しいならいくらでもあげる」  そう言って、用意していた書類をバサバサとテーブルに投げつけてやった。十年近くかけて集めた証拠の数々。  ちゃんと見てよ。あんたの自慢の跡継ぎ息子がついに大業を成し遂げたよ。褒めてくれないの? 折角の手柄を水落くんに持っていかれるからまた怒られちゃうのかな? 「二十年前の事件をいくら調べてもとっくに時効になっているぞ」 「そう言うだろうと思ったよ。最近の不正も調べてその中にある。水落くんチェックしてよ」  命じられた水落は、えーこの中から俺に探せっていうの? と面倒くさそうにぼやきながら書類を手に取った。  その様を眺めながら父は深い息を吐いた。
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