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 色んなしがらみから解放されて楽になれると思っていた。  要するに逃げたかった。  全部終わらせたかった。  負の感情から逃げたかった。  終わらせることがゴールだった。  でもどれだけそれを追いかけても、何の満足感も達成感も得られないことに気づいてしまった。  何もかも失えばあの時の子供になると思っていて、そうなった。  そして子供に戻ると、結局愛情を欲しいと思った。  愛したいし愛されたいと思う。  その人間としての根底の部分に触れて、じゃあそれを得るためにもう一度生きたいと思った。  自分にずっと足りなかったのはそれだった。  愛する人からの愛情が欲しい。  ただそれだけのことだった。  君の涙を見て、君の言葉を聞いて、やっと気づけた。 「ごめんね。君につらい思いをさせた」  謝ると、また七海の大きな双眸はじわりと潤み、それをごしごしと手の甲で拭っていた。そんなふうにするとまた目が腫れるよ。そう思って彼の目尻を指の腹でそっと拭ってやると頬が熱くなった。  やっぱり僕のこと好きなんだ。良かった。  こんな狂ったことばっかり言う男を許してくれるの。優しいね。  だから君といたいよ。ずっといたい。
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