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 それでもやめない。やめたくない。だから何度もする。漏れ出る息が忙しなくなってきて、二人の交わる部分が沸点を探るようにとろりと溶けていく。同じくらいの熱を持っているからなの? 僕だけじゃないのかな。 「…は…あ…」  どんどん甘くなるその息を漏らすくちびるを見ていたいよ。熱に浮かされたように潤む眼と濡れた睫毛を見ていたいよ。綺麗だって言いたいけど怒られるから言わない。  でも本当に綺麗なんだよ。顔の造作だけのことじゃなくて、すべての純度が。驚くほど混じり気がなくて、触れてしまえば水滴みたいに弾けて消えてしまいそう。儚いという意味じゃない。強さの中にそれがある。君はそれを自分の弱い部分だと疎みたいのかもしれないけど、それを愛しく思うし、大切に守りたいと思う。  だからその水滴を消してしまわないようにそっと触るね。そっと優しく。  キスに酔うと身を崩しそうになっている。これだけで抱いた後みたいにぐったりする。だから難なく体に触れられる。抵抗をなくしているからたくし上げたシャツの下から直接手を入れて触れることも難なくできる。肌に指を滑らせるだけでびくびくと小刻みに身体が揺れる。露になった白い首筋を軽く吸うと小さく声が漏れた。
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