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「逃げないで。嫌なことをするつもりはないよ。感じているからやめないだけ」  違うだろう。したいからしているんだろう。こっちを言い訳にするな!  そう言って怒る気力もない。とっくに陶酔して、我慢しようとしても声が漏れる。小刻みに、高い声やくぐもった声が卑猥な響きとして耳に届く。  厭うことなく性器にまで舌が這わせられ、そのぬめりによる刺激で簡単に白濁を放ってしまう。 「…は、あ…っ…!」  多月はそれをぺろりと舐め上げ、その仕草を見ているだけでぞくりと身体の芯が痺れるのがわかった。  昨日も思った。愛撫をする多月の表情、動作、声、すべてが欲情を掻き立ててくる。これが色気というものだろうか。  そのまま昨日穿たれたところをまた執拗に弄られ、挿入されて、動かれる。  最初は蠢くようにゆっくりと。その時点でもう気持ちいい。 「…あっ、あ、…ああ…っ…」  これでは『感じているからやめないだけ』などと自己都合的な言い訳をされても仕方ない。  実際これ以上なく感じていて、喘いでいて、やめてほしくない。もうずっとそうしてほしい、と脳が麻痺して素面では考えられないことを思ってしまう。 「気持ちいいんだよね? 言ってよ」 「…あ…、あっ…、き…ち、いい…っ」  言わされている。馬鹿か! 恥ずかしいことを言うな。だから後で思い出したくない事態に発展するんじゃないか。 「ねえ、中が凄く熱い。蕩けそうになってる。もっとしてほしいんだね」  だからやめて。実況中継やめて。死にそうに恥ずかしい。感じているのはわかっているから。もうやめて。死にそう。余計に恥ずかしい。余計に気持ちいい。死にそう。
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