12

4/16
5427人が本棚に入れています
本棚に追加
/429ページ
「別に肩入れしてるわけじゃないです」 「ていうかおまえ急に元気になったな? 最近めっきり落ち込んでたのに。何かあったの?」 「何もないです」 「指摘しなかったけどさ、夜勤でもないのに前日と同じ格好で出勤してきた日あったよな?」  よく見ている。いや、そのへんについて七海が注意を払っておけばよかった。流石にそういうことが続くのはおかしいからと今朝は早朝に一旦自宅に帰って着替え、出勤してきた。  本当なら夜のうちに帰宅したかったのに、『朝までいて』とか甘えきったことを言われて、ふりきっても良かったが、やはり自殺騒動まで起こしたその日に一人にできるはずがなかった。  そうすると朝まで抱かれることになりそうだから避けたかったのに。そしてその通りになってしまったから言い訳の仕様もない。 「友達の部屋に泊まっただけです」 「とか言いつつ彼女じゃねえのー?」 「そうだったらどんなにか良かったかって思いますよ…!」 「そこまで悔しがるなら事実だろうな。わかった」  危ない。顔に出やすいらしいから気をつけなければ。自分は気にしていなくても案外人は細かいところを見ているようだから。
/429ページ

最初のコメントを投稿しよう!