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「でも、自由になるための砦だったのなら、決して意味のないことではないと思います」  その言葉に多月は微笑みを見せてくれた。夕陽によく映える。見とれる自分に妬みはなかった。 「自由になりたかったんですよね?」 「そう。なりたかった」 「これからどうするつもりですか?」  一番知りたかったけれど訊くのが怖くてできずにいた質問をやっと投げかけた。 「そうだね。生きていくなら今後を考えなきゃいけなくなった」 「まさか本当に考えてなかったんですか?」 「死ぬつもりだったから。でももし死ぬ状況にならなかったとしたら…」  ならなかったとしたら?  答えを待つ七海を見て、多月はくすくすと笑う。  何がおかしい! 「ごめん。ハラハラした顔して待ってるからおかしくなった」 「ハラハラして何が悪いんですか!」 「ずっと僕の心配をしてくれていたのは君だけだね。だから嬉しい」  心配するに決まっているだろう。こっちがしないと誰がするっていうんだ。自分の進退をどうでもいいと張本人が思っているというのに。 「じゃあ君の望むようにしようか。僕の今後を」 「…俺の望み?」
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