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膨れっ面でつっけんどんに言えばそれは怒っているのが丸わかりだ。だけど腹が立つじゃないか。何でこちらの希望を言わされて、文句をつけられなければならない? それが本心だからどうしようもないじゃないか。
そう思っていると、手を掴まれ、引き寄せられるように抱きしめられた。
周囲に人がいるかどうかを気にする余裕はなくて、ただその腕の力強さに安堵した。
生きている。今日もここにいる。
「君に従うよ。何でもいいんだ。仕事なんて」
「自分で選びたかったんじゃないんですか」
「だから今、自分で選んだ」
君の意見を僕が選んだ。そう聞こえた。
嫌ならはねのけたらいいだけの話だ。
きっと多月も残した仕事をやり遂げたい。
二課でやりたい仕事がまだある。
警察でしかやれない仕事をしたいと思っている。
警察が嫌いだったわけじゃない。ただ選択権もなく親にやらされていることが嫌だっただけだ。
自由になって、自分で好きなだけ選べるようになって、それでも今の仕事がいいと思う。
別にその選択を無様だとは思わない。他人がどれだけ馬鹿にしたとしても。
自分のやってきた仕事を誇れる人なのだと尊敬する。
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