175人が本棚に入れています
本棚に追加
では、森羅堂先生に講演をしていただこうと思います。テーマは前回に引き続き『幽薬精製の歴史について』。
「前回は宇宙ステーションでの実験なども行ったというところまでお話ししました。
幽薬といいますのは、市民病院の田神陽子医師が指摘したように成分は杏仁豆腐とそう変らない。
万能薬といえば夢があるのですが、実際は玲子さんがイチ子さんに投薬するのをためらったように、病原に浸潤された細胞も永遠に輪廻させてしまうので病が進行した状況では、倫理上、投薬に問題がありすぎる。
だったら健康なときに投薬してしまえば不老不死で永遠の若さを手に入れる事が可能となる。
仙人や神と言われる存在になれるというわけです。本来はウィルスによって絶滅の危機に陥った者たちを救うために精製した薬を巡って、現世、天界ニルヴァーナ、魔窟、地獄など様々なエリアで争奪戦が始まってしまった。
その事を憂いた神々が幽薬に関して譲渡するときには割り符の契約を絶対とすると、ぼくに宣誓させたのです。現在でもウィルスや細菌に対して異界では警戒を怠ってはいません。日々進化し続ける病原菌に対して免疫の方が追いついていない。
今では様々な特効薬が発見されましたから幽薬を使って治療する必要も無くなりました。しかし、不老不死はこの世に生を受けた者にとって強い魅力があるのも確かです。同業者と情報交換し危険な兆候は見逃さないようにしています」
お話の途中ですが文字数リミットがきてしまいました。
続きは次回におねがいいたします。ごきげんようさようなら(^_^)
最初のコメントを投稿しよう!