『幽薬専門 森羅堂 壱。魔女の孫娘』 1.生薬の庭

6/19
前へ
/457ページ
次へ
この世ならざる幽薬を専門に扱う薬屋。  植物たちのお喋りに惑わされている場合ではない。  息を整えると祖母に教わったように割符を右手に持ち目を閉じた。  まぶたに光の残像が躍る。その先に手を伸ばして割符の片割れを探した。手の中で割符が長く離れていた相方を見つけて鋭く鳴きはじめた。 「みつけた」  ぐらりと足元の地面が傾き慌てて目を開けた。ぶわっと潮の匂いがする風に包まれ一歩踏み出そうとした時。   
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加