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「医師、彼女・・・なんの病気ですか?」
「えーっと、どなたですか?」
運び込んでくれたのは、有り難かった見知らぬ男の登場に戸惑った。
「元婚約者です。」
〝同僚〟とは、答えたくなかった。
「彼女が病名の開示を拒んでいますから。」
「お願いします。彼女のことを知りたいんです。」
「しかし・・・・・・」
「家族は、来ていないですよね?」
「ええ。事情がお有りとかで。」
「なにかあったときのために教えて下さい。」
真剣に頭を下げて願い出た。
「・・・判り、ました。こちらへ。」
面談用の部屋に入る。
「彼女は、悪性の脳腫瘍に冒されています。」
「は、い・・・・・・?」
「本当です。色々な症状が出てきていて先ほどのように意識を失う回数も増えています。
脳幹と言って手術が極めて困難な場所に出来てしまっています。」
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