◇13◇ 愛の居場所

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    その名前で飛び起きた。 「っ・・・」  頭痛と目眩に吐き気が一気に襲って来た。掛け布団を握ってなんとかベッドに留まる。 「若狹さん。安静にしていて下さい。」 「なんで・・・」  頭上からする声は、担当医だ。しかも緩和治療に向かう前の。 「意識を失って2日も昏睡状態でした。あちらの医師から引き継ぎました。」  答えながら患者の身体をベッドに横にする。 「今日からは、ここで過ごしてもらいます。まず現状を診るために検査をします。」 「〝検査〟って、意味あるんですか?」  すでに緩和ケアを選んでいるのだから無意味に思えた。 「検査をしてより良い緩和ケアのプランを立てます。」 「・・・判りました。」 「では、明日検査を行います。安静にしていて下さいね。」 「はい・・・」  医師が出て行ったあと部屋が個室であることに気が付いた。   
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