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小さな命を抱いていてようやく判る。確かに自分もこうして抱かれていたのだと言う現実。
「若狭さん?」
涙を流すので驚いた。
「すみません・・・なんか、泣けてきます。」
ゆっくりとベッドに戻し溢れる涙をぬぐう。
「明日、また見送りに来ますからここへ来たことは、伏せておいて下さい。」
「はい。明日、お待ちしてます。」
「ばいばい。」
小さな命に手を振ってエレベーターホールへと向かった。体力の落ちた今の自分には、車椅子の一漕ぎが辛い。
「っ、ゴホッ!!」
咳が急に出て止まらない。身体が大きく揺れる。
ガタンッ!!
「っ、最悪・・・やることが、あるのに・・・・・・」
車椅子から床に滑り落ちて幾度目かの咳の後、意識を失った。
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